研究

情報探索を促進するためのインタラクションや検索技術,ユーザ分析などに関する研究を行っています.

検索エンジンテクノロジーの発展により,我々は検索エンジンを単なる情報獲得のためのツールではなく,重要な意思決定のツールとして用いるようになってきています.たとえば,自らや家族の病気について何か判断を行う,家族旅行の計画を立てる,子どもの進学先を決める,などさまざまな意思決定を検索エンジンから獲得する情報を通じて行っています.

こうした背景において,現状の情報検索技術が十分であるかというと,そうとは言えません.たとえば,近年ではウェブ情報の偏りや信頼性が大きな社会的問題となっています.本研究では,インタラクション,アルゴリズム,ユーザ分析といった多様なアプローチで,これまでにない新しい情報アクセスシステムのあり方について取り組んでいます.

主な研究一覧

多様・高信頼な情報獲得のための検索行動理解と支援(2017〜)

  • Web検索における信頼できる情報獲得のための意識と行動の関係分析
  • 代替行動マイニング
  • 多様性指向ウェブ検索のための検索インタフェース
  • 矛盾する情報獲得と検索満足度の関係理解

Web検索における信頼できる情報獲得のための意識と行動の関係分析

本研究では,ウェブ検索を通して信頼できる情報を獲得するために必要な行動に対する心がけを検証態度と定義し,検証態度に影響を与える要因と,検証態度と実際のウェブ検索行動との関係について分析する.まず,オンラインアンケート調査により,検証態度がウェブ情報の信じやすさや個人の思考特性,学歴,検索専門性とどのような関係にあるかを分析した.さらに,アンケート調査参加者のウェブ検索クエリログを分析することで,検証態度とふだんのウェブ検索行動との関係を分析する.1,491 名のアンケート結果およびクエリログを分析した結果,(i) 思考特性の1 つであるNeed for Cognition(NFC),学歴,検索専門性は検証態度と正の相関関係があること,(ii) 検証態度の高い検索ユーザは,そうでないユーザと比べて1 位の検索結果をクリックする割合が低いこと,(iii) 検証態度の高い検索ユーザほど,そうでないユーザと比べて“証拠” や“本当” といった,物事を検証するために用いられると考えられる語を含んだクエリを投入する検索セッションの割合が多いことなどが分かった.

発表資料

関連論文

  • 山本岳洋, 山本祐輔, 藤田澄男
    信頼できる情報獲得に対する心がけとウェブ検索行動の分析
    情報処理学会論文誌: データベース (TOD85), Vol.13, No.2, pp.19-33, 2020年4月.
  • Takehiro Yamamoto, Yusuke Yamamoto and Sumio Fujita
    Exploring People’s Attitudes and Behaviors Toward Careful Information Seeking in Web Search
    Proceedings of the 27th ACM International Conference on Information and Knowledge Management (CIKM 2018), pp.963-972, October 2018.
    [preprint]

認知バイアスと検索行動の関係理解

本研究では,Web 検索中に検索ユーザが閲覧する文書の意見と信憑性という2 つの要因に着目し,これらの要因が検索時の行動や検索後の最終的な意思決定に与える影響を分析した.具体的には,「乳製品は高血圧の改善に効果的か」といった,yes{no 型での解答が求められる検索タスクを被験者に与え,被験者に返す検索結果を人工的に操作することで,これらの要因が与える影響を分析した.275 名の被験者から得られたデータを分析した結果,被験者は,検索前にいだいていた検索タスクに対するyes かno かという考え(信念)と相反する意見を含んだ文書を閲覧すると,検索プロセスにより労力をかけ,検索後に検索前とは反対側の信念へと変える可能性が高くなることが分かった.本研究で得られた知見は,ユーザの事前の信念と相反する文書を検索結果の上位に配置することで,ユーザが慎重に情報を収集する可能性があることを示唆している.

関連論文

  • Pothirattanachaikul Suppanut, 山本岳洋, 山本祐輔, 吉川正俊
    文書の意見と信憑性がユーザの検索行動および信念の変化に与える影響の分析
    第11回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(DEIM2019), C2-4, 2019年3月.
    学生プレゼンテーション賞
  • Suppanut Pothirattanachaikul, Takehiro Yamamoto, Yusuke Yamamoto and Masatoshi Yoshikawa
    Analyzing the Effects of Document’s Opinion and Credibility on Search Behaviors and Belief Dynamics
    Proceedings of the 28th ACM International Conference on Information and Knowledge Management (CIKM 2019), pp.1653-1662, November 2019.
    [preprint]

マルチメディアコンテンツに対するインタラクション技術(2012 〜)

  • 視聴者の時刻同期コメントを用いた楽曲動画の印象推定

タスク検索のための検索意図理解(2010 〜)

  • SubgoalMining:大規模検索連動型広告データからのサブゴール抽出

「花粉症を治す」,「減量したい」のように,ある目的を達成するために調べごとをすることは少なくありません.このような,現実世界での目的を達成するための検索をタスク検索と定義し,タスク検索を支援するための各種技術について取り組んでいます.具体的には,タスク-サブタスクマイニングという問題に取り組みました.これは,「減量する」というタスクに対して,「食事」「運動」「ダイエットプログラム」といった,入力タスクを達成するサブタスクを検索連動型広告データからマイニングする手法を提案しました. 単に手法だけではなく,検索連動型広告のデータがユーザの検索意図理解にも使用できるということを示した研究です.

関連論文

  • Takehiro Yamamoto, Tetsuya Sakai, Mayu Iwata, Yu Chen, Ji-Rong Wen and Katsumi Tanaka:
    The Wisdom of Advertisers: Mining Subgoals via Query Clustering
    Proceedings of the 21st ACM Conference on Information and Knowledge Management (CIKM 2012), pp.505-514, October 2012.
    [preprint]

検索のためのインタラクション技術(2007 〜)

  • Rerank-By-Example: 編集操作に基づくウェブ検索結果の再ランキングシステム
  • RerankEverything:あらゆる検索結果の並び替えを可能にするインタフェース
  • AdjectiveFacet:コミュニティQ&Aコーパスからの形容詞付き観点の抽出
  • 解とクエリの特徴情報を提示するクエリ推薦インタフェース

RerankEverything:あらゆる検索結果の並び替えを可能にするインタフェース

本システムは様々なWebサービスの検索結果を自由に並び替えることを目的としたシステムです。 本システムを使用することにより、GoogleやAmazon、ニコニコ動画、GoogleScholarなどなど様々なWebサービスの検索結果を自分の意図通りに並び替える事が可能になります。

関連論文

  • 山本岳洋, 中村聡史, 田中克己:
    RerankEverything: ランキング結果を自由に閲覧するための再ランキングインタフェース
    第17回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ(WISS2009), pp.41-47, 2009年12月.
    ベストペーパー賞
  • 2008年度上期 未踏IT人材発掘・育成事業(未踏ユース) 開発者(「柔軟な検索結果再ランキングインタフェースの開発」)

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