山本研学生募集(2021年度版)

兵庫県立大学 大学院情報科学研究科 / 社会情報科学部 山本研究室 では学生募集を行っています.本ページは主に,2021年12月の卒論説明会に参加した,社会情報科学部3年生向けに執筆していますが,それ以外の山本研の受験を考えておられる方にとっても,山本研の研究内容や指導方針として参考になるかと思います.

研究室の目的

山本研究室では「情報検索」に関わる研究を行っています.情報を探すという行為は我々にとって普遍的で重要な行為です.この行為について,我々人間がどのようなことを考えながら情報を探しているのかを理解し,これまでにない新しい人間と情報の関わり方を提案・実現することが研究室の大きな目的です.

山本が行ってきた研究に関しては研究のページをご覧ください.

研究のアプローチ

山本研究室の研究は,大きく分けると以下の3つのアプローチに分類されます(もちろんこれらの組み合わせもあります).

  • 分析型研究: アンケート調査やユーザ実験,ログ分析などを通して人間の検索行動を理解.
  • システム提案型研究: 新しいユーザインタフェース,インタラクションをシステムとして実装し,評価実験(主にユーザ実験)を通して有用性を評価.
  • 手法提案型研究: 新しい検索技術や分析手法を提案し,評価実験を通して有用性を評価.

学生さん自身の興味やテーマによって,システムを実装する人もいれば,調査をする人,新しいアルゴリズムを実装する人などいろいろなアプローチがありえます.

山本研の研究テーマ

2021年現在,重点的に行っているテーマは「多様・高信頼な情報獲得のための検索技術」です.近年ではウェブ情報の偏りや信頼性が大きな社会的問題となっています.人々が多様な情報に触れ,信頼性の高いウェブ情報を獲得するための技術や分析を行っています.たとえば, 以下のようなテーマが考えられます.

  • 検索者が気づいていない別の観点の意見を含んだ文書を検索する技術
  • テキスト・画像の両面からウェブページ中の信頼性判断に重要な個所を検出する技術
  • まだ調べていない観点,実は調べきれていない観点での検索を促すインタフェース
  • 意図せず偏ったクエリを多様な情報を検索可能なクエリに変換する技術
  • 現在の人々がどのような情報源を用いて健康情報に触れ,それらをどう信頼しているかの調査
  • 検索結果ページ中の意見の分布が,検索者が感じる世の中の意見分布に対する印象どう影響を与えるかを分析
  • 種々のバイアスが情報探索行動に及ぼす影響とユーザ属性の関係分析
  • ウェブページの意見の多様性や信頼性をアノテーションした研究用データセットの構築

また,その他に,以下のようなテーマを実施しています.これらに興味を持つ学生も歓迎いたします.企業との共同研究や,他の研究室と連携しながらさまざまなテーマを実施しています.

  • 購買プロセスとウェブ上での情報探索行動との関係理解
  • 深い情報探索を促す対話エージェントの実現
  • 株価に影響を与えるニュース記事の検索
  • 博物館・美術館における新しい電子ガイドシステムの開発
  • 特許検索のためのインタフェースと検索技術

上記で挙げたテーマ以外でも,学生さん自身の興味があるテーマも大歓迎です.山本研で学ぶ技術をキーワードであらわすと,情報検索のほかに,HCI(ヒューマンコンピュータインタラクション)自然言語処理機械学習データマイニングなどが当てはまります.また,認知科学社会科学などの研究分野の知見も積極的に取り入れて研究を進めています.

山本が「情報アクセスシステム」という講義で扱った内容から,山本研ではウェブ検索に関することだけをやっているように思うかもしれませんが,そんなことはありません.ウェブ,SNSなどのオンライン情報に限らず人と情報の関わり方に関するテーマを広く扱っています.これまで研究してきた論文タイトルを眺めてもらうと参考になるかもしれません.

研究テーマの決め方については,上記で挙げたようなテーマのどんなものに興味があるかを学生さんに聞きながら,山本と議論してテーマを具体化していく,という流れを考えています.もちろん,学生さんの方から提案いただき,一緒に議論して決めるケースもありえます(大歓迎です).

2021年度時点での山本研のメンバ

2021年現在,修士 2名, 学部生 1名の3名で研究を行っています.各メンバが現在行っているテーマは以下の通りです.

  • 購買前,購買後のWeb検索クエリの時系列分析(Yahoo! Japanとの共同研究)
  • 過去の類似イベントに基づいたニュース記事からの株価変動予測
  • コミュニティQAサービスにおける多くの回答者から回答を得やすい悩みの分析と予測

2022年度は,現在の3名のメンバに加えて,新しく入ってくる修士と学部生を合わせると10名を超えることが予想されます.

研究室の年間予定(案)

以下は2021年度で行った内容をまとめています. 来年度から人数が急増しますので,いろいろとやり方は変わるかもしれません.

  • 個別ミーティング(30分/週1回)
    • 毎週、基本的に1対1のミーティング
  • 研究会(90分/週1回)
    • 研究室メンバ全員参加のゼミ.毎回数人が自身の研究の発表や読んだ論文の紹介などをします.
  • 論文読会朝活(60分/週2回)
    • 有志で朝9時に研究室に集まって,選んだ英語論文を皆で読みwikiにまとめる,ということを朝に行っています.
  • 輪講(2021年度はうまく回せず...)
    • 情報検索関連の書籍輪講
    • プログラミング輪講
      • 主に機械学習や深層学習
  • 国内会議(いつでも)
    • DEIM(3月)
      • 基本的にみんな出しましょう
  • 国際会議(いつでも)
    • 国際会議論文を書いて,(状況が落ち着いていれば)海外発表に行きましょう

2021年度は大島研,湯本研,川嶋研と合同の研究会を不定期に複数回行っています.
また,研究室内で有志の勉強会を企画したり,外部のイベント(例: IR Reading)にも積極的に参加したいと思っています.

研究室の場所・環境について

社会情報科学部がある,兵庫県立大学 神戸商科キャンパス に研究室があります.情報科学研究棟309号室が山本研の場所になっています.

各学生にはモニタ,キーボード,マウスを1人1台使ってもらえる環境を用意しています.深層学習モデルの学習用に,GPUを積んだデスクトップマシンが複数台あります.また,検索システムであるElasticsearchを動かすためのCPUマシンなども置いてあります.対話システム構築用のGoogle Nest HubやAmazon Echo Showなどもあります.

ここには載せていないものもありますので,ぜひ研究室を見学してください.

FAQ

Q. どのような人が山本研に向いていますか?

以下に1つでも当てはまる人は向いていると思います.

A. 

  • 検索に詳しくなりたい人
  • 機械学習や自然言語処理技術について詳しくなりたい人
  • 手を動かして何か新しいものを作ることが好きな人
  • 自ら頭を動かし,解決法を考え,人に伝える一連のスキルを鍛えたい人

Q. どのような人が山本研に向いていませんか?

以下に1つでも当てはまる人はあまり向いていないと思います.
A. 

  • プログラミングはできれば避けたいと思っている人
  • (コロナ禍が収まったとしても)あまり学校には来たくない人

最後に

研究室や研究に対する考え方は教員によって全く異なると思います.みなさんには,ぜひいろんな研究室を見てもらって,自分に合った研究室を志望してもらいたいと思います.

以下に示す2つのページは,山本が尊敬する先生方の研究室募集のページです.山本が共感する研究室運営の考え方が多く含まれていますので,ぜひ参考にしてみてください.

山本研は現在は3名のメンバですが,次年度からは10名を超すことが予想され,山本が1人1人に十分な時間を割けないかもしれません.研究室にいるメンバや同期と協力しあい,一緒に学んでいける学生さんに志望いただけると嬉しいと考えています(もちろん山本もできうる限りの最大限のサポートします).どんなことでも遠慮なく山本まで連絡ください.

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